感染症対策や、働き方改革の一環として導入が進んでいるのが「テレワーク」です。しかし、「まずは何から始めればいいのか」「テレワークにデメリットはないのか」と悩んでいる人も多いはず。
本記事ではテレワークのメリットやデメリット、導入方法を解説します。段階を踏んで準備を行い、スムーズにテレワークを導入しましょう!
テレワークとは
テレワークとは英語の「tele(離れた)」と「work(働く)」を組み合わせた造語で、自宅や外出先など、職場にとらわれない働き方です。内職との違いは、コンピューターを使ったやり取りであるICTを活用する点。
働き方の例は次のとおりです。
- 自宅で働く
- コワーキングスペースやカフェで働く
- サテライトオフィスで働く
- ワーケーションの滞在先で働く
2019年頃から続く新型コロナウイルスの影響で、働き方の多様化が求められるようになりました。テレワークを始めるには環境を整える必要がありますが、今後ますます需要が高まる働き方と言えるでしょう。
テレワークを導入するまでの5ステップ
テレワークをスムーズに導入するには準備が大切。通信環境だけ整えてテレワークをスタートしても、大きな問題が発生する可能性があるため、手順を踏んでテレワークを導入するのがおすすめです。
目的設定
テレワークの導入を検討しているなら、まずは目的設定から始めましょう。明確な目的が設定されていないと、テレワークのメリットが得られなかったり、無駄にコストがかかったりする可能性があります。
たとえば、テレワークを導入して社員が出勤する必要がなくなれば、交通費やオフィス維持にかかるコストを削減できます。目的を設定することで、環境やツールなど必要なものが明確になるでしょう。
範囲決定
テレワークを始めるときは、「一部署から始める」「週に数日テレワークを取り入れる」など、範囲を限定して行いましょう。そして実際に行った結果をもとに、問題点や課題をあぶり出します。
その後、少しずつ実施範囲を広げていくと、自社と社員の両方にとって快適なテレワーク環境を構築できるでしょう。
現状把握
テレワークに適切な環境を整えるには、「業務ごとのテレワークの可否」を把握しておく必要があります。たとえば、来客がある部署、営業部などはテレワーク導入が難しい業務が多いでしょう。
また、業務によってはテレワークの導入によって非効率になることもあるので、管理者や社員にヒアリングを行い、適切に現状を把握するのがおすすめです。
ツール選定・ルール策定
テレワークは社員の勤務状況が見えないため、テレワークに特化したルールの策定やツールの導入が必要です。とくに、データの管理方法やソフトウェアのインストールに関する取り決めなど、セキュリティを強化するためのルールは細かく決めておくのがおすすめです。
環境整備
テレワークを導入する方法を決定し、環境を整備します。必要に応じてシステムやツールを導入しましょう。
まずは最低限の環境を構築し、問題点を改善しながら環境を整えていくといいでしょう。
始める前に知っておきたいテレワークのメリット&デメリット
テレワークはすべての企業にマッチしているとは言えません。導入を検討する前にメリットとデメリットを把握し、自社に合っているかどうか、きちんと精査しましょう。
テレワークのメリット
テレワークを導入するメリットは、おもに次の4つです。
- 社員の通勤負担を軽減できる
- コストを削減できる
- 優秀な人材を確保できる
- 災害や感染症対策に役立つ
テレワークを導入すれば、社員が自宅で働くことができるため、通勤にかかる負担やコストを削減できます。また、妊娠や育児、病気、介護など、これまでオフィスに出勤して働くのが難しかった人材を採用できるというメリットも。
優秀な人材を確保できると同時に、退職率低下も期待できるでしょう。さらに災害や感染症などにより出勤が困難になっても、テレワークなら業務を行うことができます。
テレワークのデメリット
テレワーク導入を検討しているなら、次のデメリットも理解しておきましょう。
- モチベーションや生産性が下がる可能性がある
- コミュニケーションが不足するケースがある
- セキュリティなど必要な対策が増える
カフェや自宅での業務は勤務時間に個人差が出る可能性があります。一人一人の勤務態度の確認が難しいため、業務の取り組み方に差が出るケースもあるでしょう。
そのため、テレワークを導入するときは、勤怠管理をきちんと行う必要があります。またテレワークはオフィス勤務のように、「気軽に質問する」「報告する」ということができないので、コミュニケーション不足対策を行っていきましょう。そのほか、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策、業務効率化のためのツール導入など、テレワークはオフィスの環境づくりよりも必要な対策が多くなる可能性があります。
テレワークはどうやって始める?やり方4つ
テレワークの始め方は一つではありません。自社にマッチしたやり方で効率的にテレワークを行いましょう。
会社PCを持ち帰る
会社のPCを持ち帰れば、通信環境の整備、セキュリティ対策だけでテレワークが導入できるため、導入コストを削減できます。オフィスと変わらない環境でテレワークを始められるので、社員もスムーズに在宅勤務を開始できるでしょう。
しかし情報漏洩のリスクがあるため、セキュリティ対策をしっかり行う必要があります。
クラウド型アプリ
インターネット上でアプリケーションにアクセスして、業務を行う方法です。クラウド型アプリの利点は、導入が簡単でスマホやタブレットからもアクセス可能なこと。
会議やチャットなどのコミュニケーションはもちろん、ファイルの共有も安全に行えます。無料で体験導入できるアプリもあるので、自社の体制に合ったものを選んでみてください。
リモートデスクトップ
リモートデスクトップはオフィスで自分が使用しているPCを、テレワーク先の端末で遠隔操作することができます。あくまで遠隔操作を行うだけなので、離れた場所から業務を行ってもデータが残る心配がありません。
オフィスで行っていた業務の続きをテレワーク先ですぐにスタートできるのが、リモートデスクトップのメリット。またオフィスに出勤して業務を行う際も、テレワーク先で作成したデータを移動せずに業務を開始できます。
仮想デスクトップ
会社のサーバーの仮想デスクトップに、テレワーク先でアクセスして操作する方法です。リモートデスクトップとの大きな違いは、オフィスのPCではなく仮想デスクトップ(VDI)にアクセスする点。
仮想デスクトップを購入するコストはかかりますが、リモートデスクトップ同様にテレワーク先のPCにデータが残る心配がありません。また、管理者がアクセス制限や不要なソフトウェアのインストールを制限できるため、よりセキュリティを強化できます。
テレワークをするには何が必要?おすすめツール4つ
テレワークはツールの導入でさらに快適になります。また、離れていてもストレスなく働くことができるよう、ツールを使って対策をしましょう。
勤怠管理ツール
勤怠管理ツールは、「インターネット上のタイムカード」と言えるでしょう。オフィス勤務同様に出勤・退勤した際の打刻が可能なので、社員の勤務時間を正確に把握できます。
また、残業時間や休日出勤の記録確認も可能です。
Web会議ツール
Web会議ツールを使えば、ブラウザやアプリを使用して離れた場所にいる人同士でリアルタイムに会話ができます。ツールによって機能はさまざまで、なかには数百人で会議ができるツールも。
そのためミーティングや会議はもちろん、研修でも活用されています。
チャット・コミュニケーションツール
テレワークで希薄になりがちなコミュニケーションを活性化するためには、コミュニケーションツールの導入がおすすめです。案件ごと、チームごとに会話したりファイルをやり取りしたりすれば、業務がスムーズに進むでしょう。
またスマホにアプリを入れておけば、どこにいても通知を受け取ることができます。
セキュリティ
ウイルス感染や情報漏洩を防ぐためにも、ウイルス対策ソフトの導入は欠かせないツールの一つです。しかし、日々新しいウイルスが生まれていると言っても過言ではありません。
ウイルス対策ソフトは導入後もアップデートを行い、常に最新の状態に更新しておきましょう。
テレワーク導入には事前の準備が大切!
テレワークは通信環境と端末があれば、すぐに開始することができます。しかし環境が整っていてもルール策定や社員のテレワーク状況の管理ができていないと、会社の生産性がダウンしてしまうでしょう。
そのため、テレワークを導入する際は、きちんと手順を踏んで準備するのがおすすめ。またツールを使えば、より業務を効率化できるでしょう。
自社に合った方法で、ぜひテレワークを始めてみてください!