生産性とは、リソースの投入量に対してどのくらいの成果物を生み出したかを示す指標のことです。
生産性を上げる方法はさまざまであるため、企業は具体的な方法を把握しておく必要があります。
この記事では、生産性を上げる方法や生産性を上げることで企業が得られるメリット、生産性が低下する理由などについて解説します。
生産性とは何か
生産性とは、労働力や原材料といったリソースの投入量に対して、どのくらいの製品やサービスを生み出すことができているかを示す指標のことです。
少ないリソースで多くの製品・サービスを生み出すことができれば、生産性が高いということとなります。
生産性が高い状態は、作業に無駄がない状態ともいえるため、売上アップを目指すためにも、企業にとっては重要な指標の一つとなるでしょう
業務効率化との違い
生産性と似た言葉に業務効率化がありますが、業務効率化は生産性向上を達成するための方法の1つだといえます。
生産性は、先ほども説明しているようにリソースの投入量に対してどのくらいの成果物を生み出したかを示す指標です。
一方の業務効率化は、日々の業務における無駄を排除し、時間や費用を効率よく活用することです。
つまり、業務効率化によって時間や費用の無駄がなくなることで、余計なリソースを投入することなく、より多くの成果物を作れるようになるという仕組みとなります。
生産性向上が必要な理由
企業が生産性を上げる必要がある背景には、労働人口の減少があります。15〜64歳の労働人口は減少し続けており、企業は少ない労働力の中で成果を上げなければなりません。
また、出生率も低下しているため、将来的にも労働人口が少ない状況は続くと考えられます。
このような中で企業が売上を確保するためには、少ないリソースの投入でより多くの成果を得ること、つまり生産性の向上が必要不可欠です。
経営者からしてみると、どうしても短期的な売上が気になるかもしれませんが、中長期的な視点を持って生産性向上に努めること、生産性向上につながる投資や人材の採用、教育を行うことが大切だといえます。
生産性が低下する背景
生産性を上げるためには、なぜ生産性が低いのかその理由を理解することが大切です。
ここでは、生産性が低下する具体的な背景について解説します。
長時間労働
長時間労働は日本でも長年問題となっていることもあり、近年では減少傾向にありますが、それでも他の国と比べるとその水準は高い状況です。
従業員が長時間労働に追われると、ストレスや疲労が低下してしまい、仕事のパフォーマンスが落ちる可能性があります。
また、判断力の低下やケアレスミスなども起こりやすくなるでしょう。このような事態が発生するといくらリソースを投入してもなかなか成果を上げることができません。
マルチタスク
従業員によっては、常に複数の案件や作業を同時にこなすマルチタスクに追われているケースも少なくありません。
例えば、会議に参加しながらメールの処理をするといったケースはマルチタスクの代表例です。
マルチタスクが常態化していると、特定の作業に集中できず、作業効率が低下してしまう恐れがあります。
残業が前提の企業体質
会社として残業が当たり前の状態になっていると、従業員は定時内で作業を終わらせようと努力をしなくなる恐れがあります。
特に、上司がずっと残って作業をしていると、他の従業員が「そういうものなのか」と考えるため残業が常態化し、作業効率の低下、ひいては生産性の低下につながるでしょう。
生産性を上げるメリット
生産性を上げることで企業が得られるメリットはさまざまです。ここでは具体的にどういったメリットがあるのか解説します。
なぜ生産性に取り組むべきなのか、周囲に納得してもらうためにも、ぜひ参考にしてください。
人件費の抑制
生産性を上げることができれば、少ないリソースでより多くの成果物を作ることができるため、コスト削減につながります。
例えば、従来は10人で1つの製品を作っていたものを5人で作れるようにすれば5人分の人件費を浮かせられます。
削減したコストは、他の事業に注力したり、新たな設備に投資してさらに生産性を高めたりすることもできます。
業務の迅速化
生産性を上げるためには、作業の洗い出しを行い、作業の無駄を省くことがポイントとなりますが、無駄を省くことで業務をよりスピーディーに行えるようになります。
例えば、従来は3日かかっていた作業が、無駄を省くことで2日でできるようになれば、業務のスピードが上がるだけでなく、短期間での納品が可能となることおから顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
生産性を上げるための5つの方法
生産性を上げるための手法にはさまざまなものがありますが、ここで具体的な5つの手法を解説します。
生産性を上げたいものの、何からすればいいのかわからないといった企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
既存業務の見直しをおこなう
生産性を高めるためには、既存業務を洗い出し、業務内容の見直しを行う必要があります。
仕事の流れを一通り整理する中で、作業のボトルネックになっている部分が浮き彫りになることもあり、そこから業務フローの抜本的な改革を図ることもできるでしょう。
業務の見直しを行う際は、重要度と緊急性という時間管理のマトリクスを意識して管理することが大切です。
それぞれの作業内容に対して重要度と緊急性をつけることで以下のように分類することができます。
- 重要かつ緊急性が高い
- 重要ではないが緊急性が高い
- 重要だが緊急性が低い
- 重要でもなく緊急性も低い
これらの分類によって作業の優先順位をつけることができるため、より効率的な業務フローを検討することもできるでしょう。
ITツールの導入
ITツールを導入することで、作業効率が高まり生産性向上につながる可能性があります。
例えば、対面で行う会議をウェブ会議にすることで、会議室にいる必要がなくなるため出先や自宅からでも会議に参加できるようになります。
また、モバイル端末やクラウドサービスを導入し、会社にいなくても必要な情報やデータにアクセスできる環境を構築すれば、移動中に情報をチェックするといったこともできるでしょう。
わざわざオフィスにいる同僚にデータを送ってもらう手間も発生しません。
アウトソーシングを利用する
作業内容によっては、アウトソーシングを利用することも1つの方法です。
アウトソーシングサービスを提供する企業は、特定の業務の効率化を得意としているため、自社で行うよりも効率よく作業を進められる可能性があります。
また、人出不足対策にもなるため、労働人口が減少している昨今においては、選択肢の1つとなります。
ただし、アウトソーシングはコストがかかるため、費用対効果を検討する必要があるでしょう。
人材配置の最適化を図る
従業員にはそれぞれ得手不得手があるため、一人ひとりの特性を踏まえたうえで、適切な人材配置を行うことも生産性向上には欠かせません。
必要に応じて、上司によるヒアリングやアンケートなどを行い、どういった業務が得意なのか確認してみてください。
従業員のスキルアップを行う
従業員のスキルアップも生産性向上につながる要素です。
作業のスピードが早まる、1人でたくさんのことをこなせるようになるなど、従業員のスキルがアップすることで、少ないリソースでより多くの成果物を作れるようになるでしょう。
業種によって行うべきスキルアップは異なりますが、例えばパソコンスキルやコミュニケーションスキルなどが挙げられます。
生産性をあげて売上アップにつなげよう
今回は、生産性を上げるための方法について解説しました。生産性を上げるためには、まず既存業務の洗い出しを行い、業務フローの見直しを行ったうえで、業務に優先順位をつけることが大切です。
また、全ての業務を自社の人員で行う必要はなく、アウトソーシングやITツールなどを活用することもポイントとなります。
生産性が向上することで、コスト削減や売上アップにつなげることもできるため、ぜひ今回の内容を参考に取り組んでみてください。