政府が推奨する「働き方改革」の象徴として挙げられるのが社会的な時短要請です。今後はより一層、企業が継続的な発展を図る上で、従業員一人ひとりの生産性向上が求められていきます。
ではどのような人が仕事の生産性を高めているのでしょうか？
そこで当記事では仕事の生産性を高める人の特徴について解説します。
生産性とは
何かを作り生み出すためには、それが有形のモノであっても、サービスといった無形のモノであっても、関わる人の労働力や原料、設備などが必要になります。
生産性は投入したもの（＝インプット）と生み出したモノ（＝アウトプット）の比率で表すことができます。
・生産性＝成果物（アウトプット）÷投入（インプット）
この比率が高ければ高いほど、効率よく生産されているということができます。
生産性を高めるためには
生産性を高めるには次の2種類の方法があります。
成果物（アウトプット）を増やす
同じ労働時間に対し、多くの付加価値を生み出していきます。
成果（アウトプット）を増やす方法とは？
社員研修などを行なって教育体制を強めることで、現状の労働力を向上させます。
成果物が少ない新入社員でも、研修によって処理能力が高まり、労働時間が短縮できれば成果物を増やすことになります。
しかし、同時に重要なのが従業員のモチベーションの維持です。仕事がスピーディーに行なえるようになっても、その従業員が「仕事量が増えただけ」と思ってしまっては本当の生産性向上を実現することができません。
そのため、従業員のモチベーションを保ちつつ、作業の効率化を図ることが重要になります。
投入（インプット）を減らす
少ない労働時間で同じ付加価値を保ち続けます。
投入（インプット）を増やす方法とは？
所要時間を減らす
投入を下げるためにはまず、所要時間を減らす、つまり時短が挙げられます。
しかし、「時短」にばかり意識してしまい、本来必要な点検や検品の時間が省かれてしまうと、結果余計に多くの時間がかかってしまうこともあるため注意が必要です。
労働力を減らす
例えばこれまで2人で行なっていた仕事を1人で行なった場合、給与が同じであれば人件費が半分となり、生産性は向上することになります。
しかし、この1人が体調不良などで仕事ができなくなった場合、その業務が滞ってしまいます。
また、それまで2人で行なっていた仕事を1人で行なうことになれば、それに見合う報酬を求められるでしょう。
つまり、人件費はこれまでとあまり変わらず、リスクばかりが増えることになるためこの場合も注意が必要です。
生産性を高めるメリット
企業の費用削減
生産性が高まるというのはコスト削減も意味することになります。
人件費や原料、固定費といった投入コストを低減させることができれば、その分の費用を新商品開発や労働環境改善に充てることができます。
社内評価の向上
労働時間が変わらないにもかかわらず多くの成果物を生み出した場合や、少ない労働時間で成果物が増えれば効率的であり、社内評価は高まります。
長時間労働の是正
生産性が高まるというのは長時間労働が是正されるという意味にもなるため、従業員の残業時間が減ります。これは近年話題となっている「働き方改革」や「ワークライフバランス」といった側面で、大きな成果となります。
長時間労働が是正されることによって従業員満足度が高まり、モチベーションもアップするため、離職率低下にもつながります。
競争力の向上
競合他社と勝負し勝つために、生産性を高めることは効果的です。
競合他社が自社より圧倒的に企業規模が大きかったとしても、自社による生産性がいつも高い水準で維持できていれば負けることはありません。
また国際化社会において、他国との国際競争力といった側面においても、生産性向上は注目されています。日本の労働生産性は他の先進国と比較すると非常に低いといわれており、他国で生産性向上のためのどのような工夫を行なっているのか研究し、実践することが望まれています。
労働力不足への対応
少子高齢化により、日本の労働人口は今後ますます減少していきます。そのため、生産性向上を日頃から意識し、努力していない企業は将来的に労働力不足となってしまいます。
つまり、生産性向上は企業を維持・発展させていくために継続的に行なっていかなくてはならないことなのです。
目的意識で働き方は変えられる
完成と未完成を区分する
書類やデータ、メールなど、すべてそのままの状態で保存してしまうと何を優先すべきかわからなくなってしまいます。
完成したものは完成フォルダなどへ移動し、未完成のものはなるべくシンプルに整理することが大切です。
目的、目標を明確にする
仕事を行なっていると、判断に迷うことは数多くあります。
上司やクライアントであっても、常に効率的な指示を出すわけではありません。
今行なっている作業は何のために行なっていて、最終的にどんなことを目指しているのかを常に意識することで、「この作業はいらないのではないか」「このようにした方が効率的なのではないか？」と意見が言えるようになります。
シンプルに仕事を行なう
仕事において何かを探すといった行為は時間の無駄につながります。必要な際は書類やデータをすぐに取り出せるように整理整頓しておくことが重要になります。
仕事のシンプル化は業務の効率化を生みだしてくれるのです。
仕事の生産性を高める人の特徴5選
生産性について意識している
仕事の生産性が高い人ほど残業はなるべくせず、プライベートも充実させています。
これは日常的に生産性を高める工夫を行なっているからです。あらゆることに生産性を強く意識するのは、生産性を高める上で非常に大切な軸となります。
仕事の優先順位をつけている
仕事の生産性が高い人は何をまずすべきかといった優先順位が明確です。
その際重要なのは「チームの業務」と「自分の業務」について、それぞれに優先順位をつけることです。
チームの業務は自分が行なわなくてはならない仕事か、他のメンバーに任せていい仕事かを区分し、滞らないように意識しながら、自分がやらなくていい仕事は割り切って手を離します。そして自分が行なわなくてはならない仕事で緊急度や重要度を見極めて、何から着手するか考えます。
余計な会議をしない
会議を行なえばそれが仕事だと思っている人も少なくはありませんが、余計な会議は参加者全員の生産性を低下させてしまいます。
仕事の生産性を高める人はその会議が何のために行なわれ、何を決めなければならないかが明確なため、会議も短時間で終了します。また、余計だと思われる会議は行わないのが特徴です。
時間管理を意識する
仕事の生産性が高い人ほど時間を有限のものとして考えており、その中でいかに最大限の効果を生みだすかに集中しています。
仕事にはどれも納期があり、重要度が高いからといって膨大に時間をかけるわけにはいきません。また、長時間残業が続くと時間効率が悪いと周囲に判断されてしまいます。
生産性を高めることができる人は移動時間や隙間時間に何を行なうかが明確で、常に時間管理を意識しているのです。
時間内に仕事を終わらせる
最終的なゴールから時間を逆算し、何をどのくらいの時間で行なわなくてはいけないかを見極め、タスクごとに時間を区切って進めていくため時間内に仕事を終わらせることができます。
できる人ほど仕事に集中してしまいますが、業務ごとの優先順位もきちんと決めることができるため、どんな順番で何から行なえば全体が滞りなく進むか把握できるため、納期もしっかり守ることができます。
どんな目的で何を目標とするために、何をいつまでにすべきか明確にしましょう
仕事の生産性を高める人にはいくつかの特徴がありますが、その軸となっているのは常に生産性を上げるために何を行なうべきかといった意識の強さです。
この意識を持つか持たないかで、仕事における考え方や視点、取り組み方が変わってきてしまいます。
すべて完璧に備えている人など多くはいませんが、すぐに意識できることや真似できそうなことを少しずつ取り入れていくことで行動や成果が変わります。
ぜひ、できることから即実践してみましょう。
