フルリモートはオフィスに出社せず、会社以外の場所で仕事ができる働き方です。
出社時間がなくなる、満員電車に乗らなくてすむ、静かな環境で集中できるメリットがあります。
しかし、フルリモートという言葉はよく耳にするが具体的なメリット・デメリットは何なのか、導入方法が分からない、という人もいらっしゃいます。
本記事では、フルリモートとは何か、メリット・デメリット、適した職種や導入に必要な機器を解説します。
フルリモートとは
フルリモートとは完全なを意味する「フル」と遠隔を意味する「リモート」を組み合わせた造語です。
フルリモートで働く、ということはその名の通り会社から離れた場所で働くことを意味します。
働くことや仕事を意味する「ワーク」をつけてフルリモートワークとも呼ばれます。
フルリモートワークに似た言葉に以下のものがあります。
・テレワーク
・在宅ワーク
・モバイルワーク
テレワークは「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で会社以外の場所で自由に働くことを意味し、リモートワークと同じ意味を持ちます。
在宅ワークは自宅勤務することを意味します。
リモートワークと似ていますが、リモートワークは会社以外であればカフェやコワーキングスペースで働いても良いのに対して、在宅ワークは働く場所が基本的には在宅固定であることが違いです。
モバイルワークは柔軟性のある遠隔勤務です。具体的には営業職のような方で外出が多い際、出先や移動中、ときには社内でも働くやり方です。
必ずしも社外で働くわけではないことがポイントです。
フルリモートのメリット・デメリット
基本会社に一切出勤せず完全に外で働くフルリモートはどのような特徴があるのでしょうか。
フルリモートのメリット
通勤が不要
フルリモートは出社する必要がないため、出社時間と退社時間分余裕ができます。
元々業務時間外ですのでその分プライベートの時間に費やすことが可能です。
また出社に必要な満員電車や車の運転をなくすことができ、肉体的にも精神的にも楽になります。
集中できる環境を作りやすい
オフィスだと他の社員も働いており雑音が聞こえるなど集中しにくい場合があります。
また社内にいることで余計な雑用(資料作成やコピーの依頼など)を依頼されることもあり、自分の作業が増えてしまうこともあります。
フルリモートなら対面ではないので本当に必要な作業以外は依頼することが難しく自身のコア業務だけに集中することができます。
他にも机や椅子、空調温度を自分に合わせたものにする、音楽をつけるといったことも可能です。
これはオフィスであれば他の方に合わせる必要があるため、完全に自由にすることは不可能です。
1日の作業時間に裁量が持てる
勤務中であれば長時間休憩したり、好きに外出する、といったことは基本許されません。
しかし、フルリモートの場合作業時間内に自身の成果物を完成でき、会議など打ち合わせに参加できるのであればその他の時間は比較的自由にできるメリットがあります。
例えば自己責任の範囲内で昼食を1時間ずらす、お菓子を食べながら作業する、といったことも可能です。
フルリモートのデメリット
コミュニケーションが取りにくい
フルリモート中は1人で働きます。社内であれば上司や同僚にすぐ相談できることも非対面では会話が難しいです。
わざわざ電話やメール、チャットをする必要があります。
また表情が読めないためニュアンスが伝わりにくかったり、言葉にすれば一瞬で終わることも時間をかけて文章にする必要があるなどやり取りに関してはデメリットが多いです。
特に入社1年目の新入社員への影響が大きいです。
・対面と比べ非対面の相談はしにくい
・業務が身についておらず相談回数が多くなりやすい
コミュニケーションコストが大きくなることは1回の悩みが大きい、相談回数が多い新入社員のストレスになりやすく、会社側が積極的にサポートする必要があります。
良くも悪くも自己責任である
社内であれば進捗が遅れれば上司に理由を聞かれたり、現状の成果物をチェックされたりします。
しかし、各社員の作業内容が見えないフルリモートでは社員側からアラートを上げなければ状況が伝わりにくいです。
ノルマや個人での作業に慣れた方なら問題なく対応できますが、慣れていないとなまけたり手を抜いてしまいがちです。
当然決められた成果物を提出できなければ問題です。会社側はフルリモートでは社内での業務に比べて作業効率が落ちることを見越して、定期的に成果物や進捗の報告を求めることが重要です。
自宅では集中できない可能性がある
フルリモートは集中しやすい環境を作りやすい、とメリットでお伝えしました。しかし、逆にフルリモート環境で集中力が落ちるケースも存在します。
社内であれば周りの目もありますが、フルリモートでは自身を注意する方もいませんので、ダラダラとこなしてしまう可能性があります。
また子どもやペットがいる方は要注意です。部屋で集中しても勝手に入ってきて話しかけられたり、猫が机や自身の上に乗ってきたりする可能性があります。
自宅では邪魔が入ってしまう場合、カフェやコワーキングスペースを利用するなど、集中できる環境は自分で作る必要があるのです。
フルリモートに適した職種
フルリモートは特にPCをメインに使う職種に向いています。作業自体をPCで行うことができ、成果物もメールで送信できるからです。
具体的には以下のような職種はフルリモート向きです。
・システムエンジニアやプログラマー
・デザイナーやイラストレーター
・ライターやディレクター
・WEBマーケター
・営業
エンジニアやデザイナー、ライターやWEBマーケターは基本PCで業務を完結することができ、社外勤務での業務影響が少ないです。
営業はそもそも客先に出向いたり、打ち合わせ用資料を作成するなど社内でなくても対応できる業務がほとんどです。
営業報告も対面からメールや電話での非対面に切り替えられるため、フルリモートに向いています。
逆に以下のような職種はリモートワークに向いていません。
・PCをほとんど使わない職種
・接客など対面での対応が必要な職種
・実店舗から機材を持ち出せない職種
例えば宝石店の接客、飲食、工場勤務などがあります。
フルリモートをする上で必要なもの
メリットが多いフルリモートですが、予め準備しておいた方が良いものがあります。
PC(パソコン)
パソコンはほぼ必須です。
業務自体を行うのはもちろん、メールやチャットなど連絡手段にも使います。持ち運びを考えてノートパソコンを推奨します。
もし可能であればセキュリティ面に配慮した製品を使うことが理想です。
・パソコンにBIOSロックやハードディスクロックをかけられる端末
・シンクライアント端末やリモートデスクトップ専用端末
社外に情報を持ち出した場合、万が一パソコンを紛失するとそのまま情報漏洩に繋がり大問題になる可能性があります。
そのためにパソコンにBIOSロックやハードディスクロックをかけられる状態にしましょう。
BIOSロックはOS(WindowsやIOSなど)より手前でかけられるロックで、ハードディスクロックはハードディスクそのものにロックをかけられる機能です。
Windows自体のOSロックはツールなどを使用することで、割と簡単に破られる可能性があります。
一方BIOSやハードディスクロックはOSより手前のロックのため簡単には破ることができません。
また、シンクライアント端末やリモートデスクトップ専用端末など手元のPC側にデータを持たずサーバーや会社内のPCに接続できる状態も有効です。
シンクライアントとはサーバー接続以外のデータを持たないPCです。
仮に第三者の手に渡ってもユーザー名とパスワードがなければデータを持つサーバーに接続できません。
万が一、ユーザ名とパスワードが漏れても、端末をなくした段階でシステム管理者にアカウントを無効化してもらえば対策可能です。
通信環境
パソコンをインターネットに接続する通信環境も必要です。
有線と無線(wifiなど)がありますが、会社から支給するなら無線が楽なこと、フルリモートは自宅以外でも作業する可能性があることから無線の方がおすすめです。
また無線についてもセキュリティを高めることが重要です。カフェなどの無料wifiは平文(通信内のパスワードを暗号化していない)の可能性があるため、システム管理部がセキュリティ対策した端末を支給しましょう。
コミュニケーションツール
非対面のため、連絡手段の導入も必要です。
会社用の電話端末やPCにインストールするチャットやビデオ会議ソフトを準備しましょう。
ビデオ会議のために専用のカメラやマイクを準備する手もありますが、PC自体に内蔵されたものを準備すると費用面、労力面でコストを抑えられます。
フルリモート導入の準備を進めてメリットを最大限に享受
フルリモートにすることで通勤時間のカット、集中できる環境を作れ作業効率化を図ることができます。
ただし、導入のためには機器や社内制度の準備が必要で、コストも発生しますので十分な検討が重要です。
ぜひフルリモートのメリット・デメリットを把握して導入に活かして頂ければと幸いです。