面接官は応募者のスキルや強み、ポテンシャルを見抜き、自社で活躍できる人材であるかを見極めることが役割となります。そして、その採用試験の一つである面接には、人数や形式によって種類が分かれます。
そこで本記事では、採用面接の種類や面接官が注意しなければならないポイント、おすすめの質問などを解説します。
採用面接の目的
採用面接には、
- 応募書類だけでは把握できない、応募者の人間性やコミュニケーション能力を知る
- 応募職種の適性を判断し、入社後における双方のミスマッチを防ぐ
- 自社への志望意欲を判断する
などの目的があります。
また、採用面接は応募者にアピールできる場だけでなく、面接官によって自社の魅力をPRできる場でもあります。
自社の魅力は会社説明会等でもPRできますが、面接は応募者一人ひとりに直接魅力を伝えることができる良い機会なのです。
採用面接の種類
個人面接
応募者一人に対して、面接官が一人または三人程度で行なわれる面接で、ほとんどの企業で導入している一般的な面接となります。
選考時間は20分から30分程度で、一人の応募者に対してじっくりと時間をかけて面接することができます。
面接官が複数名いる場合は一人が質問をし、質問者以外は表情やしぐさなどもチェックしています。
企業によっては一次面接でも個人面接を行ないますが、多くの企業は二次面接以降、選考段階の後半に行なわれるのが一般的です。
集団面接(グループ面接)
応募者三人から六人に対して、面接官が一人または三人程度で行なわれる面接で、多くの場合、一次面接などの選考段階初期に行なわれます。
面接官が質問し、指名された順に答える場合や任意に答える場合もあります。
応募者それぞれに違う質問をすることもありますが、応募者全員に同じ質問をし、比較しながら評価することもあります。
集団面接の場合、応募者は他の応募者の発言内容や態度が気になるものですが、面接官は応募者が自分の意見に冷静に答えられているかをチェックする必要があります。
また、応募者は自分の持ち時間が個人面接に比べて非常に短いため、簡潔にわかりやすく答えなければなりません。
グループディスカッション
応募者を数人のグループに分けて、決められたテーマについてディスカッションさせ、グループとしての結論を出させる面接方法になります。
グループディスカッションでは、司会進行役も応募者の中から選ばれます。
グループの討議を通じて、一般的な知識ばかりでなく、集団の中での協調性やリーダーシップなども判断されます。また、グループ内での説得に不可欠な話しの論理性もチェックされます。
なお、あるテーマに対し、意見の対立する二つのグループに分かれて討議するのがディベートで、新卒採用試験の初期段階などで行なわれることもあります。
面接官が採用面接で注意するポイント
会社の代表であるといった意識を持つ
面接官は応募者が出会う、数少ない「志望企業の人間」です。また、近い将来の同僚、先輩、上司となりうる候補者です。
面接官の言動は応募者の志望意欲に大きな影響力を及ぼします。
「このような人といっしょに働いてみたい」「このような人がいる会社だから入社したい」と応募者に思ってもらえるよう、会社の代表であるといった意識を持ち、真摯な態度で臨みましょう。
応募者がリラックスして話せる場づくりを行なう
採用面接に臨む応募者は誰しも緊張するものです。そのため、面接官は応募者がリラックスして話せるようアイスブレイクを行なう必要があります。
また例えば、窓のある明るく広い部屋を選ぶ、応募者がゆったりと座れるイスを用意する、足元が隠れる机を使ってもらうなどの細かな配慮も、応募者の緊張を和らげることができます。
応募者とは対等であるといった意識を持つ
面接官によっては心構えが不完全で勘違いしてしまい、高圧的で居丈高になってしまう人もいます。これは「自分が応募者を選ぶ立場だ」との誤解によるものです。
これではたとえ面接官が「自社にとって必要な応募者だ」と判断して内定を出したとしても、応募者が「こんな会社(こんな人といっしょに)では働きたくない」と思ってしまえば内定辞退につながります。
面接官と応募者はどちらが上でどちらが下というような関係ではなく、あくまで選び選ばれる対等の関係だということを意識しましょう。
清潔感に注意する
面接官が応募者の話し方や外見をよくチェックしているのと同じように、応募者もまた面接官のあらゆるところを見ているものです。
応募者が服装や髪形、メイクなどに気を配るように、面接官も自分の身だしなみには注意しましょう。
また、応募者が来社する際に使用する内線電話の受話器に埃がついていないか、応募者が通る廊下にゴミは落ちていないかなども事前にチェックすることが大切です。
応募者に対しておもてなしの心を持つ
面接官は応募者に対しおもてなしの心を持ちながら率先して行動にあらわし、会社全体に示しましょう。
面接日時は事前に他の社員にも連絡し、廊下やエレベーターなどで応募社とすれ違った場合は明るく挨拶するよう周知しておくことが大切です。
明るく気持ちのよい挨拶や親切な応対は、応募者に自分は歓迎されているといった印象を与え、「この会社に入社したい」と志望意欲の向上にもつながるため重要です。
面接官におすすめの質問40選
面接序盤のアイスブレイク時
- 今日はここまで何を使って来ましたか?
- 今日はどこから来られましたか?(自宅や会社など)
- 当社まで何分くらいかかりましたか?
- 来社されるとき、迷いませんでしたか?
- 室温は大丈夫ですか?
- 外は暑い(寒い)ですけど、体調は大丈夫ですか?
- 当社のことはご存知でしたか?
- 緊張していますか?
などがアイスブレイクとしておすすめの質問です。
この際、家族や恋人、休日の過ごし方など、ハラスメントとして受け止められかねない質問はしないようにしましょう。
過去の経歴に関する質問
- 自己紹介をお願いします。
- 現在の大学(短大、専門学校など)を選んだ理由はなんですか?
- 前職(または現職)で担当されている業務について教えてください。
- これまでの中で、これは成長できたと思える時期について詳しく教えてください。
- 今までで最も大きな成果を出せた出来事と、その成果のためにどのような努力や工夫を行なったのか教えてください。
- 〇〇の経験は何年くらいありますか?
- 〇〇に関しての知識はありますか?
- 前職(または現職)で与えられた目標はどのようなものでしたか?
- 仕事を通じて評価(抜擢や表彰など)された経験があれば教えてください。
- 〇〇の仕事をお任せした場合、業務を行なうことは可能でしょうか?
- 前職(または現職)ではどのような目的や目標を持って仕事を行なっていましたか?
- どのようなメンバーと仕事をしていましたか?
などが過去の経歴を確認する質問としておすすめです。
業界用語は避け、応募者にとってわかりやすい質問にすることが重要です。
退職理由に関する質問
- なぜ今、退職を決断されたんですか?
- 前職(または現職)の同僚や後輩の方々は〇〇さんが転職されることについてどのように感じていると思いますか?
- 退職理由で述べられていた問題点が前職でクリアしていたら、続けていたと思いますか?
- 今後もし転職する場合はどのような理由だと思いますか?
などが転職理由に関するおすすめの質問ですが、応募者に共感しながら話しを聞くと、本音が引き出しやすくなるため、十分意識しましょう。
志望理由や入社意欲に関する質問
- 当社を志望した理由を教えてください。
- 当社では具体的にどのような業務に携わってみたいですか?
- どのようなことを重視して会社選びを行なっていますか?
- 当社ではどのような経験やスキルを身につけたいですか?
- 当社に期待していることはどのようなことですか?
- やりたい仕事を行なえるけど給与は安い場合と、やりたい仕事ではないけど給与は高い場合、どちらを選びますか?
- いつまでに転職を決めたいですか?
- 当社について知りたいことはどのようなことですか?
などが志望理由や入社意欲に関するおすすめの質問ですが、志望理由を深掘りしすぎて聞いてしまうと高圧的な印象を与えてしまうため注意しましょう。
性格や価値観に関する質問
- 友人や周囲の人からどのような人だと思われていると思いますか?
- 会社の同僚はあなたをどのように評価していると思いますか?
- これまで挫折したことはありますか?それはどのようなことですか?
- あなたの強みや弱みはなんですか?
- 苦手なタイプはどのような人ですか?
- これまでに最もストレスを感じたのはどのようなときですか?
- どんなときにモチベーションが上がりますか?
- 将来の夢や目標はどのようなことですか?
などが性格や価値観に関するおすすめの質問ですが、セクハラ、モラハラなどにとられないよう細かな配慮が必要になります。
面接官の質問や応対が採用活動の成否を決めます
求人広告や採用サイトに力を入れ、どんなにたくさんの応募者が集まったとしても、実際の入社や長期間の在籍につながらなければ、採用活動が成功したとはいえません。
面接官が質問する際の表情やしぐさ、気持ちのこもった応対が応募者の入社意欲を高めるため、応募者の気持ちに寄り添う面接を心がけましょう。