インターネットの普及や政府が推し進める働き方改革の一環により、リモートワークを導入する企業が増えてきました。
それに伴い、リモートワークによる地方移住者も増加傾向にあります。
そこで当記事では、リモートワークによる地方移住の進展や地方移住のパターン、そしてメリットや注意点について解説します。
テレワークによる地方移住の進展
リモートワークを積極的に活用する企業は増えています。
リモートワークはどこにいても仕事をすることができるため、通勤する必要がなくなり、オフィスに近い都心に住まなければいけない必要もなくなりました。
企業側は、従業員がどこにいても業務を行えるのであれば、必ずしもオフィスを都心に設けなくてもよくなります。中にはすでに賃貸料の高い都心のオフィスの賃貸契約を見直す企業も現れています。
また、リモートワークで仕事を行う人の中には、仕事をしながらプライベートも充実させようと、自然が豊かで景色の美しい地方へ移住する人も増え始めています。
これまでは、仕事を優先する人が大勢いましたが、仕事と生活の充実を両立させたいと考える人も増え、生活者の意識や行動も変わりつつあります。
一方、過疎化や高齢化に悩む地方自治体は数多くあり、こうした自治体の中には都市部からの移住者を増やそうと、様々な支援策を実施しているところもたくさんあります。
テレワークによる地方移住のパターン
Uターン
地方から都市部に引っ越しし住んでいる人が、再びふるさとに戻ることをUターンと呼びます。
例えば、新潟県に生まれ、大学進学を機に東京都内へ引っ越したとします。大学卒業後、そのまま都内で就職し、経験を積んだ後で新潟県の実家に戻るといったケースがこのUターンになります。
月のほとんどを地方で過ごし、数日だけ都内に上京して働くといったスタイルも、リモートワークであれば可能になります。
Jターン
自分が生まれ育ったふるさとから、進学や就職で都市部に引っ越しした後、ふるさとではなく、ふるさとに近い地方都市に移住することをJターンと呼びます。
これは、「U」の文字のカーブが途中で切れているように見えることから、このように呼ばれています。
例えば、宮城県の山間部に生まれ、大学進学を機に東京都内に引っ越ししたとします。
そして、大学卒業後に都内で就職し、結婚後、子供が生まれたことで子育て環境を考え、宮城県仙台市に移住するようなケースが、このJターンに当たります。
この場合、仙台市には仙台空港があり、新幹線が停まる仙台駅もあります。こうした利便性に加え、山間部の実家にも行き来がしやすいことを考慮して、Jターンを選択する人は数多くいます。
Iターン
都市部で生まれ育った人が、地方都市に移住して働くことをIターンと呼びます。
例えば、名古屋市内に実家があり、同市内の就職先に実家から通勤していたものの、毎日海がよく見える離島での生活にあこがれて、沖縄県に移住するといったケースが、このIターンになります。
距離や場所にもよりますが、移住の際に転職ではなくリモートワークで従来の仕事を行うことも可能です。
ただし、Iターン者の多くは「都会のライフスタイルが自分には合わない」と考え、生活はもちろん仕事も変えてしまうことも少なくありません。
地方移住のメリット
自然が豊か
地方移住のメリットとしてまず挙げられるのが、自然の豊かさです。
人口が多い都市部では、商業施設やオフィスビルなどが立ち並んでいて、自然を感じることが少ないでしょう。
しかし、地方は山や海、森林などの自然が多いことが特徴です。
大自然に囲まれ、都会の喧騒から離れた静かで心豊かになる暮らしにあこがれる人には、地方移住が向いているといえます。
交友関係が広くなる
都心部では、自宅の近隣をはじめ、あまり人付き合いを重視しないため他人と交流する機会はほとんどありません。
しかし、地方の場合、人同士のつながりや関係性を大切にする文化は根強く残っており、地域の行事やイベント、コミュニティなども多いため、交友関係が広がっていきます。
物価が安い
物価の高い東京や大阪に比べ、地方は物価の安さが魅力といえます。都会では考えられないような価格で食料品や日用品がリーズナブルな価格で販売されています。
都会の企業に在籍しながら、地方移住をし、給与賃金ベースが都会並みといった場合、物価が安くなるため可処分所得が増えるのもメリットです。
子育てしやすい
都会では、保育園や幼稚園などの待機児童が問題になっています。また、子供を遊ばせる公園の少なさ、街の治安等も問題になっています。
そのため、子供を預けるところがなく、復職できないと悩んでいる主婦の人も少なくありません。
しかし地方の場合、待機児童は少なく、保育園や幼稚園に預けやすいのがメリットです。
また、公園や自然も多いため、子供を遊ばせる場所もたくさんあります。
通勤ラッシュのストレスがない
都会では自家用車より、公共交通機関を利用する人が多いため、朝夕のラッシュ時には電車やバスが混雑します。
しかし、毎朝夕ともに満員電車に乗らなくてはならないため、疲労やストレスが日々たまります。
一方、地方は都会に比べて人口が少なく、車通勤する人が多いという特徴があります。
そのため、都会のような満員電車に遭遇することはほとんどないので、通勤ラッシュによるストレスは大きく軽減されます。
気軽に屋外レジャーを楽しめる
地方には山や海、川などの自然が豊富にあり、キャンプ場や海水浴場、森林浴場などのネイチャーアクティビティが充実しています。
そのため都会のように、何時間も時間をかけて移動しなくても気軽に屋外レジャーを楽しむことができます。
地方移住の注意点
自分だけで移住を決めない
地方移住を計画する際は、必ず周囲の意見を聞き、自分だけもしくは家族だけで決めることがないようにしましょう。
特に家族で移住する場合は、移住によって家族一人ひとりの人生を左右することなので、慎重に決定するようにしましょう。
地域の気候や災害を調べておく
地方移住の前に、移住先となる地域の気候や災害について調べておくようにしましょう。
地方に住居を構える際の問題点や不安なことをしっかりと把握した上で、移住を検討しましょう。
実際にその地域に移住している人の話を聞いたり、ネットで調べることも有効です。
ライフラインが整っているか確認する
特にIターンで離島や人里離れた場所での移住を計画する際は、ライフラインが整っているか必ず事前に確認するようにしましょう。
地方の場合、中心市街地から離れると、移動の際は車が必要になります。
都会からの移住のため、車を持つ必要がない場合は、電車やバスなどの交通事情をおさえておく必要があります。
家賃や駐車場代を確認する
住居費や駐車場代の確認も移住前に行うようにしましょう。
各都道府県の県庁所在地や中心部に住む場合、家賃や駐車場代がかさんでしまうことがよくあるからです。
地方だから家賃も安いと思っていると、思わぬ落とし穴がある場合もあるので注意しましょう。
自治体の補助金や移住支援制度を調べる
地方移住する際は、事前に自治体の補助金や支援制度を調べておきましょう。
補助金や支援制度を活用すれば、移住による負担を軽減できるからです。
自治体によって様々な支援制度があるため、自分のライフスタイルに合った制度が整っている地域を探してから決めるのも有効といえます。
リモートワークでの地方移住は可能。しかし、メリットや注意点はしっかりおさえておこう
リモートワークはインターネット環境が整っていれば、場所を問わずに仕事をすることができるため、通勤する必要がなく、オフィスに近い都心に住まなければいけない必要もありません。
そのため、リモートワークでの地方移住は可能です。
地方移住は物価が安い、自然が豊か、通勤ラッシュなどのストレスがない、子育てがしやすいなどのメリットがありますが、移住先の気候や災害、ライフラインや補助金制度など、移住前に必ずよく確認しておくことが大切になります。